確定申告を自分でやる

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はじめて自分で確定申告をしようとする方の多くは、国税庁のホームページで調べてe-taxという言葉に翻弄されて訳が分からなくなったり、税務署に確定申告書を貰いに行って、あまりの種類の多さに戸惑ったりしてしまいます。

e-taxや、申告書に記入するのは集計した結果ですので、それ以前の集計の手順を理解することが、あなた自身の確定申告を楽にする一番の早道かと思います。
以下に集計の手順をまとめておきます。

1.売上を集計する

まず、1年間の売上(収入)を集計します。
BtoBでお仕事されている方は多くの場合、年末、もしくは年が明けて直ぐの時期に「支払調書」が発注元から貰えるかと思います。
貰えなくても確定申告ができないわけでは無いのですが、貰ったほうが圧倒的に楽です。また、報酬を源泉徴収されて受け取っている方は、支払調書は必ず入手してください。支払調書が無いと源泉徴収の証明ができませんので税金を払いすぎていた場合などの還付を受けることができなくなります。

2.経費を集計する

多くの人が、領収証を月ごとに整理保管していると思います。なかにはノートに日付ごとに貼付してる人もいますが非常に作業がしにくくなりますので、領収証は日付ごとに整理する必要はありません。

領収証は「勘定科目ごとに集計する」のです。

以下に代表的な経費の勘定科目を書いておきますが、業種によってはこれだけでは分類しきれないことも多いでしょうから、その場合は独自に勘定科目を設定することも可能です。

  • 旅費交通費(出張時の交通費、宿泊費、ガソリン代など)
  • 修繕費(保守料、車検費用など)
  • 通信費(電話代、郵便料金、プロバイダー料金など)
  • 広告宣伝費(ポスター、ダイレクトメール、試供品など)
  • 接待交際費(接待飲食代、土産代など)
  • 荷造運賃(宅配便料金、梱包材代金など)
  • 地代家賃(家賃、地代、駐車場料金など)
  • 水道光熱費(電気料金、ガス料金、水道料金など)
  • 消耗品費(ノート、ボールペン、コピー用紙など)
  • 保険料(損害保険料)
  • 租税公課(固定資産税、利子税、印紙代など)
  • 賃借料(リース料など)
  • 新聞図書費(新聞代、図書代など)
  • 貸倒損失(売掛債権貸倒れ)
  • 諸会費(商工会費、青色申告会費など)
  • 支払手数料
  • 会議費(打合せ代など)
  • 減価償却費
  • 給料手当(従業員がいる場合)
  • 賞与(従業員がいる場合)
  • 福利厚生費(従業員への、教育訓練費、社会保険料など)
  • 雑費

減価償却の計算

勘定科目で頭を悩ますのは減価償却費かと思います。
減価償却費とは高額な仕事用の道具を購入した場合、購入した年だけで経費として認められないものがあるのですが、そういったものをお持ちの方は法律に定める方法と期間で按分して経費にしてくださいねというものです。

減価償却の計算方法には、定率法と定額法がありますが、個人事業の場合は、基本的に定額法で計算します。
減価償却を定率法で計算する場合には、あらかじめ申請を出して許可をとる必要があります。
(平成28年4月1日以降は、建物附属設備・構築物について定率法による減価償却が廃止となりました)

【定額法の計算方法】
減価償却費 = 取得価額 × 償却率 ÷ 12 × その年に使った月数
(取得価額 = 買ったときの値段)

耐用年数表(国税庁)

https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php

減価償却資産の償却率表(国税庁)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf

 

高額資産の計上方法まとめ

取得価額10万円未満=消耗品費
取得価額10万円以上20万円未満=減価償却資産、もしくは一括償却資産 or 小額減価償却資産の特例(青色申告のみ)
取得価額20万円以上30万円未満=減価償却資産 or 小額減価償却資産の特例(青色申告のみ)
30万円以上=減価償却資産

※具体的な計算書は、「青色申告決算書(一般用)もしくは「収支内訳書(一般用)」の裏面にあります(PDFの場合、「青色申告決算書(一般用)は3ページ、「収支内訳書(一般用)は2ページ)。

3.集計結果を記入する

既に青色申告が認められている方は「青色申告決算書(一般用)」に、白色申告の方は「収支内訳書(一般用)」に集計結果を記入していきます。

白色申告の方は、収支内訳書(一般用)に記載されている計算式通りに計算していくと最終的に所得が求められます。

青色申告の方は、青色申告決算書(一般用)に記載されている計算式通りに計算していくと、青色申告特別控除前の所得金額が求められるので、裏面(PDFでは4ページ)の貸借対象が記入できる方は65万円、記入できない方は10万円を青色申告特別控除の欄に記入して所得金額を求めます。

ここまで完成したら、いよいよe-taxなり、確定申告書なりへの記入となります。
なお、不動産賃貸収入のある方は同じ手順で、「青色申告決算書(不動産用)」に、白色申告の方は「収支内訳書(不動産用)を完成させておきます。

確定申告書への記入

お手元に、完成させた青色申告決算書もしくは収支明細書と、給与所得がある方は会社から発行された「給与所得の源泉徴収票」などを準備します。

商売をしている方が使用する確定申告書は、「確定申告書B」です。

「収入金額」「所得金額」「所得から差し引かれる金額」のそれぞれの欄に、青色申告決算書、もしくは収支明細書、給与所得の源泉徴収票から数字を転記していきます。
そして右側欄の「税金の計算」欄を、申告する年度分の「確定申告の手引き」から税額の計算をして完成です。

青色申告決算書もしくは収支明細書が完成した時点で、確定申告の準備は8割方終了していますので、初めての方はここまで作業をして最寄りの税務署に行かれるとスムーズに申告できると思います。